こんにちは、オストメイトブログ「ストーマライフなび」管理人のわるたーです。
私たちオストメイトは、お腹に専用の袋(ストーマパウチ・ストーマ装具)を装着して排泄物を受け止める生活をしています。そのため「ストーマパウチ」は、欠かすことのできない必需品であり、生活の快適さを大きく左右する大切なアイテムです。
でも、「自分に合ったパウチはどれだろう?」と迷うことはありませんか?
オストメイトの多くは、ストーマ手術後の入院期間中に、看護師さんや専門スタッフのサポートを受けながらストーマケアを学びます。その中で、自分の体に合ったストーマパウチを試しながら見つけていきます。 しかし、入院中に試せる種類は限られていて、病院によっては扱っている製品が少ないこともあります。そのため、ストーマパウチにはあまり選択肢がない、と思っている方もいるかもしれません。
この記事では、ストーマパウチの基本的な仕組みと種類について、初めての方でもわかりやすいようにご紹介します。自分に合ったパウチ選びの参考にしてもらえると幸いです。
ストーマパウチとは?
そもそもストーマパウチは、何のために必要なのでしょうか。
病気やけがの治療のために、お腹に新しく便や尿の排泄口をつくる手術を行うことがあります。この排泄口のことを「ストーマ」と呼びます。ストーマには、便や尿の排出を自分でコントロールする筋肉(括約筋)がないため、便意や尿意を感じたり、排泄を我慢することができません。
そこで使われるのが「ストーマパウチ(ストーマ装具)」と呼ばれる専用の袋です。お腹に貼りつけて排泄物を受け止めることで、膀胱や肛門の代わりとなって日常生活を送れるようになります。
使うストーマパウチは、ストーマの種類(人工肛門・人工膀胱)や便の状態、皮膚の様子、そして普段の生活スタイルによって違ってきます。だからこそ、自分に合ったパウチを見つけることが、快適に過ごす第一歩になります。
ストーマパウチの基本構造
ストーマパウチは主に 「面板」 と 「パウチ」 の2つのパーツからできています。
- 面板:ストーマパウチをお腹に貼り付ける部分で、皮膚にやさしいハイドロコロイドという素材がよく使われます。皮膚を保護する役割もあります。
- パウチ:面板に取り付けられる袋で、ストーマからの排泄物を受け止めてためる部分です。
単品系と二品系の違い
ストーマパウチには、大きく分けて「単品系装具(ワンピースタイプ)」と「二品系装具(ツーピースタイプ)」の2種類があります。 違いは「面板とパウチが一体になっているか、分かれているか」です。
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単品系装具(ワンピースタイプ)
面板とパウチが一体化しているタイプです。
特徴:
- 面板とパウチをまとめて交換できる。
- 面板が柔らかく違和感が少ない。
- 装着がシンプルで初心者でも扱いやすい。
- 比較的安価。
- 薄くて軽く、衣服の下で目立ちにくい。
👉 初めての方や、できるだけ簡単に使いたい方に向いています。
二品系装具(ツーピースタイプ)
特徴:
- 面板はそのまま貼り続け、パウチだけ交換できる。
- 活動時や就寝時など、生活シーンに合わせてパウチを付け替えられる。
- 交換期間が比較的長め。
- 面板とパウチをつなぐ部分(フランジ)の厚みによって、違和感を感じることがある。
- ワンピースタイプより価格はやや高め。
👉 交換回数を減らしたい方や、生活に合わせて柔軟に使い分けたい方に向いています。
面板の種類と特徴
ストーマパウチの面板は、ストーマ孔の加工方法と面板の形状によって分類できます。ストーマの状態に合わせて選ぶことが大切です。
ストーマ孔の加工方法による分類
- フリーカットタイプ
- 自分でストーマの大きさに合わせて面板に穴を開けるタイプ。
- ストーマサイズの微調整が可能。
- ストーマのサイズが変わりやすい方や楕円形のストーマの方に向く。
- プレカットタイプ
- あらかじめストーマの大きさに合わせた穴が開いているタイプ。
- カットの手間が省ける。
- ストーマが安定したサイズ方向け。
はさみを使えない方向けに、指で広げることができる自在孔という商品もあります。
面板の形状による分類
- 平面型
- ストーマに高さがあり、周囲の皮膚が平らな場合に向く。
- シワやくぼみがあると漏れや剥がれの原因になる。
- 凸面型
- 高さのないストーマや凹凸のある皮膚向け。
- ストーマに高さ出したり、皮膚のシワやくぼみを押し広げたりできる。
- 凸面形状がおなかの状態に合っていないと違和感を感じる。
排出方法による分類
ストーマパウチは、排出口の種類によって3タイプに分かれます。排泄物の状態や生活スタイルに合わせて選ぶことが大切です。
開放型(オープンタイプ)
- パウチ下部が開閉でき、排出口から中身を出せるタイプ。
- 排出後は巻き上げてマジックテープで固定する方式が多い。
- 処理ごとに排出口の清掃が必要。
向いている人
- コロストミーなど泥状~固形状の便が出やすい方に。
閉鎖型(クローズドタイプ)
- 排出口がなく、使用後はパウチごと捨てるタイプ。
- 交換するだけなので手軽。
向いている人
- 洗腸ができる方や入浴時など短時間の使用に。
キャップ型
- 排出口にキャップが付いており、開閉して排出するタイプ。
- 液状~泥状の排泄物を扱いやすい。
向いている人
イレオストミーなど水分の多い便が出やすい方に。
おわりに:自分に合ったパウチを見つけることが快適な生活への第一歩
ストーマ外来やストーマ取扱店では、サンプルを取り寄せて試すことも可能です。今回ご紹介した特徴以外にも、メーカー各社からさまざまな工夫が施された製品が販売されています。
実際に使ってみないとわからない部分も多いため、まずはサンプルを試して、自分に合うかどうかを確かめることが大切です。
自分に合った製品を見つけることで、日常の安心感や快適さはぐっと高まります。
焦らず少しずつ慣れていきながら、あなたにとって最適なパウチを選んでください。
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